初心者のための囲碁の戦略
ルールは覚えたし、何局か負けてもみた。そんなあなたが次の対局に勝つための考え方を、最初の一手から最後の一手まで紹介します。ルールは囲碁のルールに、太字の言葉は囲碁用語集に説明があります。
1. まず隅、次に辺、最後に中央
囲んだ交点はどれも、石の囲いで守る必要があります。そして盤の端は、ただで手に入る囲いです。隅では2つの辺が、辺では1つの辺が囲いの一部を受け持ってくれますが、中央では囲いをすべて自分の石で作らなければなりません。だから強い人は隅から打ち始め、辺へと広げ、中央は最後にします。
どの線に打つかも大切です。線は近いほうの盤端から数えます。三線の石は、盤端とのあいだに地を確保します。四線の石は、地は少なくなりますが中央を向いていて、のちの戦いで役に立ちます。序盤では、二線は低すぎてあまり囲えず、五線は高すぎて相手にその下で生きられてしまいます。
隅への最初の一手には、よく打たれる点が3つあります。
- 三々(3-3の点)は、すぐに隅の地を確保でき、攻められにくい手です。ただし位置が低く、辺への働きはあまりありません。
- 星(4-4の点)は足が速く、両側の辺に向かって開けています。ただし相手は、まだその下の三々に入って生きることができます。
- 小目(3-4の点)はその中間で、一方の辺では地に、もう一方では中央に向かう手です。
9路盤では、すべてが近くに集まっています。隅の星は三々の位置にあり、中央の点(天元)も初手としてよく打たれます。紅葉の碁の最後のレッスンでは、その星のひとつに打って序盤を始めます。
2. 近すぎず、遠すぎず
四隅に石が置かれたら、次は辺へのヒラキになるのがふつうです。自分の石に近すぎると、2つの石で1つ分の仕事しかできず、そのあいだに相手は同じ一手で新しい場所に打ち始めます。遠すぎると、相手に石の間に打ち込まれ、2つの弱い石に分断されてしまいます。
三線での簡単な目安があります。石が1つなら、間に空点を2つ挟んで辺にヒラきます(二間ビラキ)。間に打ち込まれても石どうしが連絡を保てるほど近く、辺を確保できるほど遠い距離です。その先は「二立三析、三立四析」という格言が教えてくれます。2つ立った石の壁からは三間、3つ立った壁からは四間ヒラけ、という意味です。
相手の石に対しても、同じ考え方があてはまります。孤立した石にくっつけて打つと、たいていその石を強くしてしまいます。攻めるなら、一、二路離れて打ちましょう。
3. 自分の石はつなぎ、相手の石は切る
ひとつのかたまりなら、生きる道はひとつで足ります。2つに分かれていれば、それぞれに生きる道が必要で、一方の面倒を見ているあいだに、相手はもう一方を攻めてきます。だから大事なところでは自分の石をつなぎ、相手の石を切り離す手を探しましょう。
斜めに接しているだけの石はまだつながっていませんが、その間には2つの交点があります。相手が一方に打てば、たいていもう一方に打ってつなげます。危ないのは、相手がすでにその一方を占めているときです。残る一点が切断点になり、先にそこへ打ったほうが、あなたの石がひとつのかたまりになるか、2つに分かれるかを決めます。
打つ前には毎回、自分の石と相手の石の切断点を探しましょう。捨ててもかまわない石を切り離すだけのキリなら、後回しにできます。大きなかたまりを2つに分けるキリなら、たいていすぐに手当てする価値があります。紅葉の碁の振り返りが良い手の理由として挙げる言葉にも、「あなたの石がつながります。」と「相手の石を切り離します。」の2つがあります。
4. 戦う前に呼吸点を数える
自分のかたまりと相手のかたまりが互いに閉じ込め合い、どちらも二眼を作れないとき、たいていどちらかが取られます。これが攻め合いで、勝敗は呼吸点の数で決まります。共通の呼吸点がなければ、呼吸点の多いほうが勝ちます。同じ数なら、攻め合いで先に打ったほうが勝ちます。
始める前に数えましょう。負ける攻め合いなら、最後まで打ち続けてはいけません。一手ごとに、いずれ取られるかたまりに石を足すだけです。ほかの場所に打つか、まず呼吸点を増やす方法を探しましょう。味方の石とつながる、相手の石を取る、などです。攻め合うときは、相手の外側の呼吸点(外ダメ)から詰めます。両者が共有する呼吸点は、どちらが詰めても両方から減るので、最後に詰めましょう。
紅葉の碁は、数えるのを手伝ってくれます。対局中、呼吸点が2つになったかたまりの石には橙の輪が、アタリの石には赤の輪が付きます。あなたの石にも、月影卿の石にもです。第5課は、身につけたい習慣で締めくくられます。戦いの前には必ず呼吸点を数えましょう。
5. シチョウを読み、ゲタを使う
紅葉の碁の第10課と第11課では、逃げようとする石を捕まえる2つの方法を学びます。
シチョウ
シチョウでは、逃げる石を毎手アタリにします。相手は伸びて逃げ、呼吸点が2つになりますが、あなたは反対側から再びアタリにします。逃げる石は階段のようにジグザグに盤を進み、盤端で行き止まって取られます。
シチョウを始める前に、その進路を目でたどりましょう。逃げる石から盤端まで、斜めに一直線に進みます。その線上か、すぐそばに逃げる側の石があれば、それがシチョウアタリとなり、シチョウは失敗します。失敗したシチョウは、打たないより悪い結果になります。追いかけた石のすべてに切断点が残り、相手は一手で2つの石を同時にアタリにできることもよくあります。シチョウが成立するか確信が持てないときは、打たないことです。
ゲタ
ゲタは、追いかけずに石を取ります。アタリにする代わりに、一路離れて、逃げ道をふさぐように打つのです。相手が押し出してくるたびに押さえれば、相手は押すたびに自分の呼吸点を減らすだけです。ゲタは遠くの石に左右されないので、シチョウが成立しない場面でも使えます。
6. 石を捨てて勝つ
初心者は、すべての石を助けようとして多くの対局を落とします。弱い石を助けるのに一手使うたびに、相手はもっと大きな場所に打ちます。石を助ける前に、その石が何をしているかを考えましょう。相手の石を切り離している石や、自分の石どうしをつないでいる石は大切なので、助けます。どちらでもない石は、たいてい捨ててかまいません。
わざと石を捨てることもあります。相手があなたの2子を取るのに手をかけているあいだに、その外側に壁を築いたり、隅を取ったりできるのです。すぐに石を取り返せる捨て石もあります。ウッテガエシでは、取られる場所にわざと石を打ちます。それを取った相手の石は呼吸点が1つしか残らないので、同じ点に打ち返して、捨てた以上の石を取れます。
7. 二眼と欠け眼
安全な石につながれないかたまりは、生きるために二眼を作らなければなりません。眼が2つで足りる理由はルールのガイドで説明しています。実戦で二眼を作るには、次のことを心がけましょう。
- 辺の近くで、早めに生きる。辺や隅のかたまりは、中央のかたまりよりずっと少ない石で二眼を囲めます。狭いところに押し込まれたかたまりには、眼を2つ作る余地すらないこともあります。
- 急所を見つける。かたまりの内側に3つ並んだ空点は、眼ひとつです。真ん中に打てば二眼になり、相手に先に打たれれば眼はひとつで、取られることがあります。紅葉の碁の第8課で学べます。
- 自分の眼は埋めない。埋めてしまうと、紅葉の碁の振り返りが「自分の目を埋めてしまいました。」と教えてくれます。
石に囲まれた空点が、すべて眼になるとは限りません。欠け眼では、その点を囲む石どうしが、その点を通してしかつながっていません。相手はそのうちの何子かをアタリにでき、助けるにはその点を埋めるしかないので、眼が消えてしまいます。眼を確かめるには、斜めの点を見ます。中央では、4つのうち2つを相手に占められると欠け眼です。辺では2つのうち1つで十分で、隅ではたった1つの斜めの点で決まります。
8. 受けるとき、ほかに打つとき
相手が受けなければならない手を先手といいます。相手が受けたあとはまたあなたの番で、次にどこに打つかを選べます。受ける必要のない手は後手です。何かを得られるかもしれませんが、そのあとは相手が選びます。先手を保つとは、次に何が起きるかを選ぶ権利を保つことです。
相手が自分の石の近くに打っても、必ず受けなければならないわけではありません。受けずにほかの場所に打つことを手抜きといいます。迷ったら、受けなかったら何が起きるかを考えましょう。自分のかたまりが死ぬ、または2つに切られるなら受けます。数目を失うだけなら、ほかの大きな手のほうがよいことも少なくありません。毎手受けてばかりいると、対局中ずっと相手に先手を握られてしまいます。
「大場より急場」という格言のとおり、急ぐ手を先に、大きな手はそのあとに打ちます。急ぐ手とは、弱いかたまりを助ける手や攻める手、大きな手とは、空いている隅や広い辺を取る手です。大きな点を取っているあいだに自分のかたまりが死んでしまっては、何にもなりません。コウも同じ理屈です。コウ立てとは、相手が受けなければならないほかの場所への手で、受けてもらえれば、コウを取り返す番が戻ってきます。紅葉の碁の第7課で実例を見られます。
9. ヨセは順番に
隅と辺が落ち着き、かたまりが安全になると、対局はヨセに入ります。自分の陣地と相手の陣地の境界を閉じていく段階で、接戦はここで決まります。次の順番で打ちましょう。
- 両先手の手。先に打ったほうが得をして手番も保てるので、見つけたらすぐに打ちましょう。
- 自分だけの先手の手(片先手)。得をしたうえで相手は受けなければならないので、損がありません。
- いちばん大きな後手の手。目安として、同じ目数が動く手なら、後手は先手のおよそ半分の価値です。
- ダメ(双方の陣地の間の空点)は、いちばん最後に。
境界の手の大きさは、双方の側から数えて測ります。自分が打てば2目得をし、相手が打てば相手が2目得をする場所なら、その手は両者の差を4目動かします。
紅葉の碁が採用する面積計算では、ダメに置いた石も自分の得点になるので、パスする前に詰めておきましょう。日本や韓国のルールでは、ダメはどちらの得点にもなりません。パスの前には、境界がすべて閉じているかも確かめましょう。すき間があれば、相手に入り込まれます。紅葉の碁では、月影卿がパスすると、メインパネルの「パス」キーの表示が「対局を終える」に変わります。もう得になる手がなくなったら押しましょう。
10. 練習のしかた
- 9路盤で打つ。一局が数分で終わるので、ひと晩でたくさんの序盤、戦い、ヨセを経験でき、ミスもすぐに結果として表れるので気づけます。小さな盤に慣れてきたら、13路盤、19路盤へ進みましょう。
- 負けた対局を見直す。かたまりが死んだ、シチョウが失敗したなど、形勢が変わった手を見つけ、代わりにどう打つべきだったかを考えましょう。
- 短い問題を解く。数手でかたまりを生かす、または殺す死活の問題(詰碁)は、どんな戦いにも必要な読みの力を鍛えてくれます。
紅葉の碁には、そのどれにも使える機能があります。月影卿は、初心から名人までの7段階の強さで、9路、13路、19路の盤で相手をしてくれます。
- ヒント。「ヒント」キーを1回押すと、良い手のある範囲を輪で示すので、自分で探してみましょう。もう一度押すと、その点と、その手の働き(たとえば「石を1個取れます。」)を教えてくれます。
- 一手戻す。「一手戻す」キーは、あなたの直前の手を、それへの月影卿の応手とまとめて戻します。ヒントと「一手戻す」は、1局につき強さ1〜3では3回ずつ、強さ4では2回ずつ、強さ5では1回ずつ使えます。強さ6と7、また人との対局では使えません。
- 前の対局。月影卿との直近5局が保存されます。あなたの手より良い手があれば、月影卿がその点に印を付け、その手の働きと、勝てる見込みがどれだけ上がるかを教えてくれます。「なぜかを見る」を押すと、その後の進行を打って見せてくれます。
- 終局後。地を数え終わると、「ヒント」キーで、いちばん損をした手からその対局を見直せます。
盤上で試してみよう
紅葉の碁の全12レッスンは、シチョウ、ゲタ、布石で締めくくられます。そのあとは、ここで紹介した考え方を9路盤で月影卿を相手に試してみましょう。ブラウザでもVRでも無料です。

